参議院議員/弘友和夫
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弘友和夫/ヒューマンネットワーク


温かさ、思いやり育む人間教育を
今回は、剣道錬士六段の腕前を生かし、剣道を通じて青少年の健全育成を図ってきたひろ友和夫さんが登場。お相手は、ご夫婦で日本全国を4周、子どもたちに口演童話を話しつづける”くまごろう先生”こと本村義雄さん。実は、お二人は弘友さんが四歳のときからの知り合いと言う50年来のお付き合い。子どもを取り巻く環境や教育、子育てなどをめぐり、心温まる話が盛りだくさんの「ふれあい対談」になりました。

ひろ友 本村先生ごぶさたしています。お久しぶりです。
本村 こぶさたしています。いつも陰ながら応援しています。
ひろ友 ありがとうございます。本村先生との出会いは、私が四歳の時です。覚えておられますか。
本村 もちろん覚えてます。私が小倉師範学校に行っている時に、ひろ友さんのお姉さんの家庭教師をしていたんですよね。四歳の”和夫ちゃん"は、いつも私のひざの上に乗って、何かお話を聞かせてあげないと帰らせてくれなかった(笑い)。
ひろ友 そうでしたか。それは忘れていました。「このお兄ちゃんは自分を大事にしてくれる人」と子ども心にも分かっていたのでしよう。
本村 それが、私が北九州市教育委員会の青少年課長をしていた時に、私の前に立派な市議会議員が来てあいさつをしている。「だれだろう」といぶかしんでいると、 「和夫です!」と。あの時は びっくりしました。
ひろ友 ほんとに、もう五十年来のお付き合いになりますね。ところで、先生は、おそらく日本申で一番たくさんの子どもたちと接してきた人。きょうは、教育、子育てなど、大いに勉強して、今後の活動の参考にさせてもらいたいと思います。先生は、こ夫妻で「くまごろう号」という軽ワゴン車で全国を回り、口演童話をしておられるわけですが、旅を始められたのはいつだったのですか。
本村 一九八五年の五月です。五十五歳の時でした。私は小倉師範学校の時に、児童文化部に所属していたのですが、当時の私たちの尊敬とあこがれの的は、「日本のアンデルセン」「童話の父」とうたわれ、全国を回って童話行脚(あんぎゃ)をしておられた久留島武彦先生でした。私は先生の門下生の童話作家、故・阿南哲朗先生に師事していたおかげで、久留島先生が北九州に来られるたびにお話を身近に拝聴できました。久留島、阿南の両先生は「子どもの心を育てる、心の食べ物がお話だ。お話は、子どもが人生を覗(のぞ)く最初の門だ」と、よくおっしゃっておられた。その時、「よし、私も久留島先生の後をたどって、子どもに心の食べ物をぱらまいていくおじさんになろう」と決めたのです。十七歳の時でした。その夢 を五十五歳になってかなえたわけでです。
本村義雄さん
1930年1月生まれ。沖縄県宮古郡の多良間島出身。小倉師範学校(現・福岡教育大学)卒。北九州市職員を定年まで三年を残す85年に退職。その年の5月から、「くまごろう号」と名付けた愛車(軽ワゴン車)に乗り、妻の淑子さんとともに全国の保育園、幼稚園、小学校を巡回、童話の読み聞かせ、紙芝居などの公演を続けている。久留島武彦児童文化賞、福岡県教育文化功労賞など受賞。北九州児童文化連盟副会長、九州野口雨情の会代表。
ひろ友 若い時の情熱、原点を持ち続けて実現するというのはすこいですね。今、日本を何周されたのですか。
本村 四周目が終わりました。訪れたのは約千三百五十市町村。もうすぐ四千四百会場になります。一カ所に平均百五十人くらい集まりますから、六十万人以上にお話をしたことになりますか。小さい子ども、例えば一歳でも、お兄ちゃん、お姉ちゃんと一緒にお話を聞いていると雰囲気を感じることができるんです。二歳も後半になると、話がちゃんと分かっています。一番目を輝かせながらハネ上がって喜んでいる。四、五歳になると、ヤジを飛ばしますよ(笑い)。「頑張れ!」とか「早く逃げて!」とか、いい意味でです。子どもの空想カ、想像力は大人の考えるような小さなものじゃないんですね。
ひろ友 口演童話の旅ももう十三年になりますが、その中で子どもたち、また子どもを取り巻く環境は変わりましたか。最近は、子どもが殺人事件を起こしたり、いじめや登校拒否なども深刻化していますが・・・。
本村 子どもの本質は変わりませんね。よく笑い、よく遊ぶ。全国どこへ行っても共通です。子どもは大人よりも笑い上手、ほめ上手、いたわり上手です。ただ、気になることが句点か」あります。一つは外で遊んでないということ。子どもが太陽の子、お日様の子でなくなってきました。二番目が「今、何時?」と聞いてくる子が増えてきました。水泳や塾などがあるんです。時間を気にしながら遊ばないといけない今の子どもはかわいそうです。三番目に「くたびれた」という子が多い。子どもは元気に遊んで一晩寝れば、疲れなんて飛んでいってしまうものです。でも、疲れが積もり積もっているんですね。
ひろ友 それが中学、高校になって、どんと「切れる」。
本村 その通りです。子どもは遊びが”いのち"なんです。それが、勉強だ勉強だと言われて欲求不満が積もる。大きくなってハネ返って、校内暴力、いじめ、不登校なんかにつながるのだと思います。今の社会は「うまく遊べる」という条件が壊れてきてますね。「遊び仲間」「遊ぶ時間」「遊ぶ場所」「遊び方」「遊具」の五つです。「遊び」を復活してあげないといけませんね。親の方も、子どもが小学生くらいになると五つの「病気」になってしまうんです。他の子どもと比べて「焦る」という病気、「勉強しろ勉強しろ」という病気、「危ない危ない」という病気、これは挑戦しない子ども、親に頼る子どもにしてしまいます。そして「期待過剰」と「過保護」という病気です。 ひろ友 以前、登校拒否のことをいろいろ調べたんですが、親が高学歴で教育熱心、子どもが一人っ子という家庭で一番多いんです。先生の今のお話を裏付けるものですね。文部省なんかも今ごろになって「心の教育」を強調してますが、ちょっと遅すぎるし、官僚の発想なんですね。「ゆとり」とか「心」とかいっても”お役所仕事"ではできませんよ。
本村 対応が遅すぎますね。だから、自分にできることをやろう、と。私にはお話ができる。いい話を聞かせてあげることで何が善で何が愚か、あったかさとは何か、冷たさとは何か、思いやりとは何か、を教えてあげられる。童話には、そんなことを教えてくれる要素がたっぷりとあるんです。
ひろ友 小さいことでも自分にできることから始める、というのは大事ですね。私は剣道を通じて青少年の育成に取り組んできました。今は忙しくてちょっとできなくなったのですが、市議時代に自宅に道場を開きまして。今も「あの時のひろ友さんの指導のおかげで立派にやっています」と感謝の言葉が寄せられることがありますが、本当にうれしいですね。
本村 剣道というのは日本古来の規律や礼を教え、その中で個人の自立を図ることができますね。日本の子育ての伝統的な宝といっていいと思っています。
ひろ友 今、自分にできることから始めるという意味のことを言いましたが、今度の参院選では、ボランティア教育を必須科目にすることを公約として掲げました。
本村 大賛成ですね。人間として仲間のために何が自分にできるか、それを考え実行するのが、人間と他の動物との違いですよ。そこがボランティアのスタート。そのためにも、小さい時からあったかさを味わわせてあげることが大事だと思います。これから高齢社会でしょう。あったかい若者に面倒見てもらえるお年寄りは幸せですよ。逆に冷たい若者に面倒見られると悲劇です。お年寄りは子どもに体験を聞かせるといいと思います。つらかったこと、泣いたこと、うれしかったこと、感激したこと、体験はだれにでも話せるし、体験ほど人の心を打つものはありませんからね。
ひろ友 子どもの社会は大人社会の反映ですよね。先生は全国を図られていて、大人の側が変わらないといけないと思われるようなことはありましたか。
本村 あいさつ上手でない大人が日本中にいるんですよね。私は、全国を回る時、保育園や幼稚園に飛び込みで公演をやります。いきなり行って「公演をやらせてください」と。見知らぬ土地を車で回りながら、幼稚園などを探すのですが、どうしても見つからない時があります。そんな時は役所に行って尋ねますが、あいさつの悪い最たるものが役所の窓口ですね。人が窓口に来ると、「あ、面倒なことを持ってきた」とでも思ってるんじゃないですか(笑い)。保育園などでも、気持ちの良いあいさつと態度で迎えてくれる園長がいる所は、園全体が明るいですね。家庭の中で、もっとあいさつ上手な子どもに育てていかないといけないと思います。
ひろ友 その通りですね。若い人、青年はどうですか。
本村 信念というか、目標がない人が多いんじゃないですか。何かホヤッとしている。自分を見詰めて、自分はこうあるべきだ、夢はこうだ、という人が少なくて、悲しい、怖い思いがします。小学生なら「どんな中学生になりたいか」、中学生には「何のために高校に行くのか」、そうした問いかけをしていくことが大事じゃないでしょうか。
ひろ友 そう。「何のため」が ないんですよね。子どものころから、とにかく「勉強しろ勉強しろ」で競争社会。競争に負けたら「自分はダメだ」と落ち込んでしまうし、勝ったにしても、目標がなければ何にもならないでしょう。「いい学校に行って、いい会社に入って」、あるいは「大蔵省に入って」なんていうのは、人間としての目標じゃないですよ。人間として「どう生きるか」であって、「何になるか」は関係ない。みんなのため社会のためにどう尽くすか、そこが大事ですね。
本村 教育の三本柱は知育、体育、徳育ですが、日本の戦後教育は徳育を忘れてます。最近も企業のトップや官僚の中から逮捕者が出ていますが、まさに道徳滅亡の姿です。学歴や地位と人間のあったかさは正比例していません。あったかさや思いやり、優しさを目指して、人類は今、苦悩しているんじゃないですか。物質文明が発達すればするほど、心が大事になってくると思うんです。
ひろ友 教育問題をきちんと考えないといけませんね。私は、中高一貫教育の推進や入試制度の改善、教員採用試験の改善なども公約としているのですが、本村先生はどう思われますか。
本村 ムダな受験勉強をしないでいいから中高一貫教育には大賛成です。その分、遊ばせてほしいですね。「思いっきり遊んでこい。宿題は友達とどれだけ遊んだかだ」というくらいの度量のある先生がほしいです。教員も生活体験をしっかり積んだ人がいいですね。民間人講師とか中高年の先生の採用とか、どんどん進めるべきです。先ほども言いましたが、子どもの”いのち"は遊びです。勉験は生涯教育でいい。一生涯勉強なのですから。子どもは遊んでくれる人の言うことを聞くんです。だから、小学校の三年くらいまではどんどん遊ばせる。四年生くらいになって、「お前も四年生なんだから、もうちょっとしっかり勉強しろ」と言う。それまでしっかり遊んでいるから言うことを聞いてくれますよ。
ひろ友 それじゃあ、私の両親の教育方針は正しかったわけだ。私は小学生の時、先生に「四年生になったら勉強します」と言ってたんです。そしたら先生が家に来て、「和夫君は、こう言ってますがいいんですか」と父に聞くんです。父は「それでいいんです」と一言。これでおしまい。もっとも私の場合、四年生になって勉強したわけではありませんが(笑い)。
本村 それで欲求充足して、情緒安定した人間に育ったのですよ。とにかく、教育の現場は厳しいことが多いですね。遊びの復活、子どもを支える地域社会の連帯、学校教育の現場、こうした一つひとつに挑戦して、改革していってください。これからもひろ友さんの活躍に期待しています。
ひろ友 ありがとうございます。人間そのものに光を当てる政治が私の目指している政治です。同じ意味で教育現場の改革にも全力で取り組んでまいります。きょうは、お忙しいところをありがとうこざいました。

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